設立趣旨書


1.趣旨

私たち「新潟市自閉症親の会」は、自閉症児・者に対する理解と協力を求め、福祉の向上を図ることを目的とし、任意団体として活動を続けて参りました。

ここ数年、「自閉症スペクトラム」の概念のもと、知的には明らかな遅れのない高機能自閉症やアスペルガー症候群のこどもたちの早期診断が可能となり始めています。文部科学省による「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」においても、学習面や行動面で著しい困難を持っている児童生徒の割合は6・3%という数字によって表され、その中に自閉症スペクトラム児の存在がクローズアップされるなど、広汎性発達障害の裾野の広さが認識できる時代に入り、平成16年12月3日には発達障害者支援法が制定されました。

診断直後から始まる相談支援、幼児期の療育支援、学齢期になれば、放課後や休日、夏休みなどを利用した余暇活動・地域生活支援、さらに、成人期の就労の場の確保からグループホーム、自立生活の確立まで、自閉症の人たちのライフサイクルを見据えての一貫した自閉症の支援システムの構築は、当事者団体としても、最大の課題であります。このように生涯に渡って、自閉症児・者の支援を行うには、現状のままでは限界があり、会を法人化し安定した運営でさらに発展させたいと考えます。

また、正しい理解に基づいた療育支援・教育支援・就労支援が施されたとき、多くの自閉症の人たちは、社会に貢献できるものと確信しております。

自閉症児・者とその家族の幸せを願い、社会的役割を遂行するために、私たちはここに「NPO法人にいがた・オーティズム」を設立いたします。

2.申請に至るまでの経過

新潟市自閉症親の会は、昭和48年より、任意団体としての活動を続けてまいりました。当時は「自閉症」の情報や社会的認知の乏しい時代でしたが、母親たちが中心となり、義務教育終了後のこどもたちの通所施設『太陽の家』の設置に始まり、昭和60年代からは親亡き後の家庭に代わる生活の場を求めて、『第二太陽の家』建設運動が始められ、平成5年には入所更生施設「太陽の村」(太陽福祉会)が開設されました。

時代は流れ、平成10年には新潟市自閉症親の会の中に幼児・学齢期の部「ほっぷすてっぷクラブ」が立ち上がりました。当初は、30名に満たない数のスタートでしたが、当時新潟市内において、自閉症の早期の診断ができにくいという土壌の中、「・・・かもしれない。」「・・・の傾向がある。」などの不安を抱きながら母親たちが、親の会の扉をたたきました。療育の機会を与えられない幼児の母親たちは、就学を控え、当会に入会する中で、はじめに自閉症とは何なのか、専門家不在の親同士の学習会、アドバイスし合う座談会などを通して集まっておりました。このような中、「こどもの療育につながるものがほしい。」「何かしたい。」という声で「山登り」や「合宿」そして「クリスマス会」などを企画し、学習会も学齢期のこどもたちが求めている内容が中心となりはじめ、座談会方式の集いから様々な活動が実施できるようになりました。

平成14年には、世代交代の時期を向かえ、ほっぷすてっぷ世代による事業展開へ推移してまいりました。この時期、高機能グループの立ち上げもあり、医療・教育の専門家による学習会やボランティア参加の合宿など充実した内容となり、平成16年7月、会の拠点を新潟市内に開設するに至りました。

今後はNPO法人として、自閉症児・者の一生涯に渡る安定した支援と提案、そして社会への正しい自閉症の啓発を推進してまいります。

平成17年11月17日
NPO法人にいがた・オーティズム
理事長 角田 千里