親と教師のための学習会2005〜政令市新潟の教育ビジョンと特別支援教育の展望〜
「(仮称)新潟市教育ビジョン」の中間発表がありました。これからの3年間の中で推進する8つの重点施策の中の一つに特別支援教育のサポート体制の推進があげられています。
今年度『親と教師のための学習会2005』では、政令市へ向かう新潟市の特別支援教育を中心テーマとして、自閉症をはじめとする発達障害のこどもたちの教育支援を担う学校の先生方とその親たちが共に学びあえる学習会を開催しました。
- 日時
- 2006年2月18日(土)
- 会場
- 新潟県立生涯学習推進センター 研修室
- 講師
- 長澤 正樹 氏 (新潟大学 障害児教育専修)
外山 武夫 氏 (新潟市教育委員会 学校指導課 副参事・指導主事)
- 定員
- 100名
- 対象
- 教師と保護者
- 主催
- 新潟市自閉症親の会
- 後援
- 新潟市教育委員会
≪参加者へのアンケートより抜粋≫
参加者総数62名 アンケート回収率60%
質問1
学校の先生(教師)にお尋ねします。
学校運営にあたり、教師へのサポート体制として必要だと感じられている事柄についてご自由にご記入ください。
【通常学級担任教諭】
- 通常学級の定数減。
- 教員の加配の増加。
- 初めて特別な支援を必要とする児童と出会い、日々勉強させていただきました。初めての体験がたくさんありました。その度、様々な方々に相談に乗っていただき、助けていただきました。何でも相談できる機関(人)が一番だと感じています。
- 日々の対応の悩みを相談するため、校内体制を整えてもらうことが必要だと思います。また、実際には、その相談や対応の方法を考えるために要する時間を確保するため、持ち時数を減らす等の対応をしてもらえればと感じています。今いる人員で何とかは、きっとできないと思います。精一杯やってもとても求められるような支援をしてあげることはできません。
- 人です。
- 6.3%だなんて遠慮したか、認識の薄い先生からの数値じゃないでしょうか。24人のクラスに専門機関で相談をうけている子が4名、うち1名特殊学級のある学校へ転出、この他明らかに発達に障害があり苦労しているお子さんが2名います。とにかく、人が必要です。
【特殊学級担任教諭】
- 自閉症についての研修会の開催。
- たとえば教室から飛び出して行く子に付いて行ってもらえる介助員の方が必要。(側にいて、問題行動を起こさないようにしてもらう)
- WISCなど検査をして、診断と支援のあり方を助言してくれる専門家。
- 学校長の特別支援教育関係の研修。(リーダーとして)
- コーディネーターの専門性。
- 校内委員会の実質的サポート。
- 管理職の理解と協力。
- 介助員の数の確保。(お金が掛るから難しいことは分かっていますがあえて…)
- 基礎的な知識を教えてくれる研修会の校内での実施。(コーディネーターには、まだそのような力がありません)
- 校内でスクリーニングによって名前が挙がったお子さんについて、その後の指導をどう進めていけばよいのか。やはり、ある程度発達検査のできる方に客観的な検査をしていただかないと決められず、指導が進まないままになっています。
- 地区コーディネーターを明らかにして、各校すぐにでも相談できる体制になるとありがたいです。
- 各校で発達検査ができる教員を養成できるよう、研修の機会を整えていただくこともありがたいです。
- 教育相談のできる十分な時間の余裕が必要です。
- 現在推進員をしています。校内の先生からの相談は、1日1件のケース、その他に、保護者からの相談が2週に1〜4回あります。その他に、通級の学級で学習や行動上の問題を抱える子どもたちへの対応が必要です。学級担任をしながら、推進員をするのはとても難しいと思っています。
- 必要なのは、やはり、人材です。
- 専門家の巡回。(年に数回指導主事の先生に来て頂いていますが、もっと頻繁に気軽に相談できる体制と人材)
- 学校心理士や知識をもったスクールカウンセラー等の応援がほしいです。
【介助員・保育士】
- 通常級の先生方との連携・理解や交流学級の先生方との話し合いの時間がなかなかとれないので、校内委員会の必要性を感じました。
【その他(学校関係、不登校加配教員、小学校臨時職員)】
- 支援の必要な生徒は年々増えていて、理想的な体制は教えてもらっても、現場の体制が追いつかない。
- 長澤先生の提案された校内委員会になるほどと思いました。
- でも、授業ありの中でどう個別に子どもたちへの対応をしていけるのでしょうか?
- 人員を増やしてほしいです。
- 話し合いを持つ為の時間
- 人手。
- 学生ボランティアさんはあまりいらない。
- まだまだ特別支援教育については知識不足の感があります。教師が学ばなければならないと思っています。そのための研修会が必要です。
- 一人で40人も見るのは難しいです。T.Tなり人が必要です。学習支援ボランティアでもいいと思うので、人の加配をお願いしたいと思っています。
質問2
本日の学習会へ参加されての感想をお願い致します。
【教師】
- 保護者の方々の声もうかがえて、大変参考になりました。
- 色々な立場の方のお話を聞くことができてよかったです。充実した内容、来年もお願いします。
- 来年度からの特別支援教育がどうなるのだろうという思いで来ました。
- 意識が変わるけど制度が変わらない → このことが、当校で考えるとどうなるのか。特殊学級のない当校では、通常学級で適応できにくいお子さんたちへの支援を人的にどう行えるのか。法的に制度があるということから通常学級に居続けさせて学習活動を展開しなければいけないんだと思うと、支援を必要としているお子さんに申し訳ないです。
- 来年度からの新潟市の体制が、(案)とはいえ知ることができてよかったです。
- 今回のような話を、全ての教員が聞くべきだと思います。特別支援担当教諭と、そうでない教員の意識の差が大きくなっています。
- 話を聞いて、私自身の考えは、特殊学級とは別に特別支援教室があったらということです。現在、特殊学級へ通級してくるお子さんがいますが、通級教室ができれば、もっと受け入れられるのに…と思っています。
- これからの特別支援教育を考えていく上で、非常に参考になるお二人のお話。参加して、ためになりました。
- 新新潟市への大きな期待を改めて感じました。是非すばらしい子どもたちの未来を親御さんと考えていける学校に変わっていってほしいと思います。ありがとうございました。
- ご案内をいただいたので、保護者の方々にもお知らせしました。内容的には、保護者の方々にはあまり、ピンと来ないものが多かったのではないでしょうか。学校と保護者のコラボの話は良かったと思いますが、あまり具体的ではありませんでした。
- 養護学校では、今年度一年間で外部の小中学校へ直接出て継続相談を受ける実績を増やし、それをもとに来年度の学校運営組織に「センター的役割」を入れるところにやっとたどり着いたところです。が、今日のお話を聞いて「新潟市ビジョン」に養護学校の位置づけはどこにあるのだろう??という感想を持ちました。また、養護学校は特別支援校であるにもかかわらず、特殊や通級、教育委員会とのつながりが希薄な状態で、養護学校が「協働」できる学校になるためにどうしたら、ということが早急な課題だと実感しました。貴重な機会をありがとうございました。
- 発達障害に対しては、まだまだ一般の理解が低く、長澤先生の言うように国民の理解が一番必要なのかと思いました。
- 今、求められている特別支援教育の今後の方向性が分かってよかったです。新潟市として取り組んでいこうとする意気込みは感じられましたが、実現するには、まだまだ難しい部分があるかと思います。でも、行政・大学・学校・保護者が同じ場で話し合う場が設けられたことは素晴らしいことだと思いました。また、このような学習会があったら是非参加したいと思います。
- 個別支援計画を作成することもとても大変なことです。
- 県、市、そして国の予算がどんどん削られていき学力向上や総合時間の充実などをせかされている中で、保護者の方の要望も多様、増加してきています。クラス中で一人二人でないこうした障害のある子どもたちを40人クラスでどう見てどう支援できるか。どうしていったらよいのか。ベテラン教師の多くは自分の家庭が崩壊しそうに忙しい中、唯、戸惑っています。不審者が出れば放課後の学習もできず障害のあるなしでなくとも遅れていく子どもたちも増えています。保護者も多様化しています。担任でないけれど、頭も心も重くなりました。だからこそのシステム化明確化なのだろうとは思いますが…。40人子どもがいたら80人、祖父母を入れるともっと多くの保護者がバックについている。そんな重みを感じてしまう内容でした。予算を増やして人手を増やしてほしいのが現場の気持です。力一杯やっているのに、やってもやっても追いつけません。みんな疲れ果てている中でやっています。
【介助員・保育士】
- これからの支援教育をより考えさせられる場でした。乳・幼児期からの支援教育がなされていくことを期待したいと思いました。
- 学校での子どもの教育支援がよくわかりました。
【保護者】
- 身近な話だったので、良かったです。
- 重度の知的障害の話しが少なかったようですが、他の障害の対応と一緒のところも多く、勉強になりました。
- 話の内容としては分かりやすかったですが、うちの子どもは知的を伴う自閉症なので何とも言えない不安はあるのが正直なところです。
- これからどのように変わっていくのか、まったくわからない状態でしたので、たいへん勉強になりました。ディスカッションでも、自分の考えとは、別の考え方を聞くこともできましたので、参考になりました。
- とても、参考になりました。また、機会があったら参加させていただきたいと思います。
- 貴重な講義ありがとうございました。内容につきましては教師の方向けに思えました。今後、保護者だけで、それに応じた内容を希望します。
- 保護者から行政への支援要請のとりまとめを親の会から考えてもらいたいと思います。
- 行政や専門講師、そして現場(学校の先生など)、保護者が一同に介する機会は貴重でした。また、お願いしたいです。
- 今後の特別支援の見通しが少しわかり、自分自身もより子どもや先生が気持良く学校生活が送れるように努めていきたいと思いました。
- 今日の学習会はとても難しいものでした。保護者としては、子どもにとってより良い支援体制になっていってほしいと願うばかりです。
- 「特別支援教育」を実施するにあたっては、非常に問題が多く予算もなく、親をはじめとする関係者の意見もそれぞれ違い、まだまだ難しいのだということを痛感しました。子どもたちにとってよりよい教育環境が整っていくことを心から祈ります。
- 人材をうめるためのお金…どこからか降ってこないものかと思いました。お金はある所にはあるのに、結局は他人事だから?何か事件がないと本腰入れてくれないのかなぁ…必要だという事を理解の上で動いてくれる、働いてくれる人、もっと増えたらいいなと思います。特別支援教育に関しては勉強できたと思いますが、とにかく「金」と「人材」でため息が出る気分でした。
- 理解と同時に何か重い気分を背負った学習会でした。